命 燃やして

9月 19, 2024

 



映画「夜汽車」は、
ひとりの男を挟んで、
姉妹ふたりの愛憎を中心に、


三人を囲む人々の葛藤を描く、
宮尾登美子原作の短篇小説。


姉役に 十朱幸代さん。

妹役に 秋吉久美子さん。

お2人とも10代の頃から 
とても好きな女優さん。


この映画の中で、
こんな台詞が あります。


姉役の十朱さんが
心を寄せる男性(萩原健一)に
すがりつきながら


「あては あんたが欲しい。体やない。

 あての心が あんたを欲しがっとる。

 死んでも離さんちや。

 あんたは あての男や。あての男やき」


すさまじいまでの女の情念。

燃え盛り、
燃え尽きることのない情念。


夢中で男を愛した女は
男の前で 演技などしない。

プライドなんか 
かなぐり捨てて、すがりつく。


こんな風に体当たりで
自分の思いを吐露できたら
どんなにかいいでしょう。


たとえ、エゴと言われても、
自己満足、執着と言われても・・・


その思いに 歯止めはきかない。


それが
命がけで人を愛する
と いうことなのかもしれません。



「お姉ちゃんは、
あの人に思われて命 燃やす。

うちは、あの人を思って命 燃やす。

燃え尽きてもええ。

うちは、それでも生きていけるき」


高知弁が今も木霊しています・・・。


他のどこの土地の言葉よりも、
高知弁であるからこそ、
この映画が生きている。

そんな風に 感じました。


ひとりの男を愛したが故に

嫉妬し、奪い合い、
時に憎悪しながらも、

最期に残ったのは
姉妹としての愛。


胸をわずらい、
今まさに命の火が消え行く間際、

薄れゆく妹の脳裏にあったのは
姉への思慕。


最期の瞬間に呼んだのは姉の名前。

愛した男の名ではなかった。


妹「もう、うちを離したら、あかん」

姉「もう、ずっと一緒や」












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